今では家やオフィスにおいて電気を利用した製品が増え、電気がないと生活や仕事ができないですよね。
そんな大切な電気を家やオフィスで使えるようにするには、当然のように電気工事が必要になります。
また、2016年4月1日から電力自由化の導入で、自由に電力会社を選べる時代。
電力自由化が始まって以降、「新電力」と呼ばれる、ガス会社や携帯キャリア、ガソリンスタンドなどなど、様々な業種が電気事業に参入しています。
そこで、「新電力を利用するには切り替え工事が必要なの?」
と、通常の大手電力会社から新電力に乗り換えた時、引き続きそのままの状態で利用できるのか初めての方は分からないですよね。
ということで今回は、通常の電気工事とはどんな工事をしているのか?また、新電力に切り替えたときに工事が必要になるのか?電気工事に注目してご説明いたします。
1.家で電気を使うために必要な電気工事とは?
まず電気工事とは、家やビルなどの建築工事の中で、送電線、配電盤、電灯、電力機器の設置を行う専門工事を総称して電気工事と呼んでいます。
少し専門的に説明すると、日本においては「電気工事士法」という法律の中では、『一般用電気工作物または、自家用電気工作物のうち最大電力500kw未満の需要設備を設置・変更・撤去する工事』となりますが、よく分かりませんよね。
ちなみに、将来電気工事の仕事に就きたい方は、「電気工事士」という資格が必要になります。
と、2つに分類でき、全て家やオフィスへの「電気の通り道」を整備するための工事になります。
➀引込線工事
引込線工事では、電柱から電線を家庭やオフィスビル、病院、学校などなど、電柱に吊り下げられている変圧器から建物までの電気の通り道を整備します。
皆さまも日頃街中を歩いていると、電柱に作業員が昇って作業していたり、工事用リフトを使った作業していたり、全てではありませんが、それが電気の引込線工事になります。
一般的な作業は、電気容量に適した電線サイズへ変更したり、古くなった電線を張り替えたりしています。
ひと昔前は、工事中は停電することもあったようですが、現在では無停電工法や活線工法といった技術の進展によって停電することなく安全な工事が可能になっています。
ですが、近年の大都市では、地下に電気配線などのラインラインを埋設していることが多くなり、都会で電柱を見なくなりましたよね。
②屋内配線工事
屋内配線はイメージ通り、家やオフィス内で行う電気の配線工事となります。
主に、主電源からVVFケーブルという専用ケーブルを家中の壁や天井に張りめぐらせて、コンセント、スイッチの設置、照明や電化製品などの各機器に繋ぐのが屋内配線です。
つまり、引込線工事で建物まで届いた電気を、コンセントなどを設置することで、実際に電気が使用できる状態まで繋ぐ工事になります。
また、これはあまり目にする機会は少ないのですが、この2つの工事の前段階で、電力会社で「外構工事」が行われています。
外線工事では、電気を供給している変電所から電柱の変圧器までの電気の通り道を整備することになり、電線の張り替えや補修、電柱の変圧器等の新設や吊替、電柱の新設や建替といった電気を使用できる状態までする工事です。
以上が通常行われている電気工事になります。
まとめると、電力会社で行う「外線工事」から、専門の電気工事業者が行う「引込線工事」と「屋内配線工事」を経て、我々は電気を使うことができるのです。
2.新電力に乗り換えると工事は必要なの?
電力自由化が施行されて早1年以上か経過し、すでに電気代節約のために「新電力」に乗り換えた方は多いものです。
そこで、これから既存の電力会社から新電力に乗り換えを考えている方は、「別に工事が必要なの?」と費用が必要になってしまうのではと、不安を感じる方も少なくありません。
新電力へ乗り換えるための工事や費用は必要なし!
既存の電力会社から新電力に乗り換える場合、インターネットのプロバイダーと同じと考えておくと分かりやすいでしょう。
現在、新電力の数は416事業者にのぼり、新たに参入してくる事業者は数多いのですが、その際、前項でご紹介したような配線工事などをしているわけではありません。
つまり、形式的にはプロバイダーのように契約先を変更するだけ。電気は家やオフィスなどの建物に繋がっている電線をそのまま使い、電力が供給されます。
なので、新電力に乗り換えるための工事や費用は必要ありません。
スマートメーターへの交換が必要
ただし、工事が必要ないといっても、交換しなければならない機器があります。
それは、「スマートメーター」です。
スマートメーターとは?
そこで、スマートメーターに関して簡単に説明しておくと、スマートメーターとは、電力使用量をデジタルで計測する電力量計(電力メーター)のことです。
ちなみに、このスマートメーターへの取り替えは、電力自由化が導入される以前から大手電力会社では順次行われていたようで、今後はすべての家庭がスマートメーターに切替わるスケジュールが発表され、2020年代にはすべての家庭に設置されることになっています。
そのスマートメーターの大きな特徴として、従来のアナログ式のメーターとは異なり、デジタルで電力の消費量(kWh)を測定し、30分毎のご家庭の電気使用量のデータを遠隔地に送れることです。
つまり、今までは電力会社の検針員が毎月、電気の使用量を目視でチェックしていたものが、データとして各電力会社に自動的に送信されるようになります。
また、スマートメーターとオール電化住宅を連動させることによって、電気の使用量や家庭内の電化製品の電力消費量などを「見える化」が可能となり、積極的に節電・省エネを取り組めるようになります。「見える化」とは、電気の消費量をリアルタイムで確認できるようにすることです。
そのスマートメーターの取り付け工事の費用は不要で、1度取り付けると再度取り替えることは必要ありません。
設置する電力会社にとっても、検針員による一戸一戸の電力メーターのチェック作業がいらないことによって、電気の使用量は随時把握できる上に、人件費コストや業務の大幅な軽減となります。
スマートメーターのデメリットとは?
以上のように、スマートメーターを取り付けることによって様々なメリットが考えられますが、個人情報セキュリティの面で問題視されています。
データ通信で個人情報を送るので、ハッキングやウイルスなどによりデータが取得され悪用されないかと懸念されています。
しかし、この問題に対しては電力会社や国、地方自治体によって、セキュリティガイドラインの策定など十分に対策を行っており、現時点ではそれほど問題はないようです。
3.まとめ
ここまで、電気工事に関してご説明いたしましたが、結論としては、新電力に乗り換えても一切費用は発生しません。
これからマイホームを建てる方以外は、当然今まで電気は使っていたと思いますので、あとは新しい電力会社と契約するだけで今まで通り電気を使うことはできます。しかし、現在アナログメーターが取り付けられているご家庭では、スマートメーターへの取り換え工事の日程調整が必要になりますので、ご注意ください。
電力会社の乗り換えとなると、何か大掛かりな工事が必要になると考えがちですが、乗り換えに工事や費用は必要ありませんのでご安心ください。
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